王が女王の動きをする |
飛と自駒の位置を交換する |
角が四辺で反射する |
金が成って王の代理をする |
銀が次の手で捕獲されない |
桂が八方に動く |
香が駒を飛び越える |
二歩を打つ |
成駒を打つ |
一つの駒を二連続で指す |
一つの駒を駒台に戻す |
挟んだ相手の駒を味方にする |
以下では著者の推測も入れて考察を進めます。発想の原点となったのは、おそらく古代インドのチャトランガ(偶像的な駒を用いた4人又は2人用のボードゲーム)又はそこから発展した何かで、
交易によって日本人はその知識または道具を得たものと考えられます。チャトランガの流れを汲んで欧州で完成型に至ったのはチェスです。
将棋がチェスを含むチャトランガ系のゲームと異なる点は駒の独自性にあり次の3つに要約されるでしょう。
(1)駒が偶像ではなく平型であり裏返すことで昇進の概念を持たせられます。
(2)駒の敵味方の区別を色ではなく向きによって行うため敵駒を味方にして利用することが可能になりました。
(3)駒の種類表示は形状ではなく文字によるもので製作・改造にあまり手間を要しません。
特に3番目の特徴----文字による種類表示は、将棋というゲームの研究・改良を容易にし、将棋の多くの亜種、百種類以上の駒を生むこととなりました。 そういった駒がどのようなものかは「中将棋」「大将棋」「大局将棋」などのキーワードで検索すると多くの公開資料から確認できます。 こうして11世紀から17世紀頃にかけて、 日本国内で様々な動きの駒とそれに見合うサイズのゲーム盤が盛んに提案されましたが、その後は、 駒の機能が整理された8種40枚の駒と9路の盤に収束して現在の将棋になりました。もっとも、 中世に考案され今は使われていない駒のなかにも興味深いものが多数存在します。 そのことが「将棋のお供」開発の動機にもなっています。
《将棋のお供》を使った将棋も、確定完全情報ゲームになるので、普通の将棋と同様に棋譜を記述することができます。 カードの使用は対応するアルファベット1字で表現すれば良いでしょう。棋譜を記述できますから、一手の内容を相手に伝える形式のメール対戦も可能になります。 さらに、将棋には詰将棋というジャンルがありますが、《将棋のお供》でも、同じように詰将棋を構成することができます。詰将棋というのは、 ある局面が与えられて、そこから王手の連続で相手の王を詰める手順を考える一種のパズルです。ぜひご検討ください。
参考文献
[1] 増川宏一: "将棋I", ものと人間の文化史 法政大学出版局 (1977/11/10).
[2] 増川宏一: "将棋の歴史", 平凡社新書670 平凡社 (2013/2/15).